尼崎の歴史物語 第10回「尼崎の醤油」

尼崎の歴史_10
 「醤油発祥の地は尼崎である」と言うと驚く方も多いと思います。醤油の発祥地については諸説ありますが,和歌山県の湯浅であると言われることが一般的なようです。湯浅で作られていた醤油はいわゆる溜まり醤油であり,味噌を製造する際にできる液体のことを指します。

 これに対して現在一般に使われている醤油は溜まり醤油と対比して本格醤油と呼ばれることもあり,製法や原料が大きく異なります。本格醤油の製造には,酒造技術を応用した麹の製造技術や強力な圧搾装置が必要だったということです。原料の違いとしては,溜まり醤油は大豆から作られるのに対して,本格醤油の原料は大豆と小麦がほぼ同量使われています。

 江戸時代の酒造技術は伊丹・池田の酒造家が牽引しており,伊丹・池田から江戸へ運ばれた清酒は年間64万樽にも達したことがあったようです。酒造先進の地である伊丹の酒造家が,交通の便に優れた尼崎の地に酒と醤油を作る蔵を建て,酒造技術を応用して本格醤油の製造を開始したということです。

 その後,尼崎の醤油は名産品としての地位を確立し,明治時代には海外にも輸出されていたそうです。この歴史は,第二次世界大戦の影響により醤油原料が統制されたため,昭和17年に惜しくも途絶えてしまいました。しかしながら,昭和60年に当時の製法を再現して「尼ノ生揚醤油」が復活し,現在も販売が継続されています(製造は龍野で行われています)。


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